cocomo+初のプロジェクト 「うわさのトイレ」と呼ばれるまで~古民家カフェ~

  • nagahama

cocomo+初のプロジェクト 古民家カフェをオープン  

cocomo+が初めて手がけることになったのは、すでにオープンしているギャラリー&ショップの一部をカフェにするというプロジェクト。依頼してくださったのは、デザインユニット「ミツトリヒトギ」さん。出雲市在住のテキスタイル作家・田部井さんと、東京在住のアートディレクター・柳本さんのお二人で活動されています。 

生地づくりから手掛けるテキスタイルや、オリジナル雑貨が並ぶギャラリー&ショップには県外からもたくさんのお客様が来ています。「ミツトリヒトギ」は田部井さんの作品で架空のいきもの。訪れる人に作品の世界を体感して頂けるカフェを作りたい―と望んでおられました。私たち cocomo+も、島年県出雲市と香川県高松市と、離れた街をそれぞれの拠点にしながら活動しているので特別なご縁を感じながら、出雲、高松、東京に居る4人で、リモートでディスカッションをするところからスタートしました。 

いきものの生命力を表現したデザインで私達に元気を与えてくれる様な作品の数々

最初の一歩は「想い」を知るところから  

カフェを開く古民家は、明治時代に建てられた日本家屋で、田畑が一望できる広い庭や縁側、梁や天井高に歴史と情緒が感じられます。初代島根県知事の邸宅でもありました。伝統的な古民家の開放感を活かすゾーニングや、様々な作品が並ぶショップの可変性、カフェ開業にあたって必要な厨房設備など、プランやデザインについてお話する前に、まずはミツトリヒトギお二人の想いやこれまでのストーリーを聴くことに時間をかけました。 想いを知ることは、インテリアコーディネーターがクライアントのイメージをより良い形にしていく上で、欠かせないコミュニケーションだと思っています。コミュニケーションを重ねて店舗全体のレイアウトとインテリアのイメージを固めていき、今回はトイレと厨房のリノベーション、ショップのレイアウトに重点を置くことになりました。 

石州瓦の美しい外観
カフェになる場所から外を見ると・・そこには遮るもののない壮大な出雲平野の風景が

オンラインを飛び出してアイデアを具体化  

リモートで何時間もディスカッションしてきた私たちが、実際に会うことになりました。きっかけはトイレのコンセプトを「ミツトリヒトギが生まれた森にしよう」と話していた時。インテリアの好みをもっと知れるよう 4 人で出かけることにしました。 向かった先は鳥取・大山。想像力をかき立ててくれそうなとある場所。個性的な食器でランチをとったり、インテリアの素材を探したり、そうするうちにアイデアが次々浮かび、4 人のイメージや意識が一つになりました。 

大山町のとある場所とは「ジュピタリアンヒル」木星人の丘、葦で作られた竪穴式住居がたくさんで別世界というか別の時代にタイムスリップした様・・・オーナーの山ノ内さんとミツトリヒトギの田部井さん
その中もまさに縄文時代?!縄文式土器いただくでスープで芯まで温まり細胞まで癒されました。
火を囲んで皆で食事をいただきながら構想がふくらみます。
トイレに生える木をゲット!ここのオーナーさんは木工作家さんなので長年切り溜めて乾燥された木がたくさんあり、その中から選ばせていただきました。
これは何に使おう?
ミツトリヒトギの田部井さんと柳本さん。帰りは荷車で出口まで。空がきれいだったなあ。

いよいよ着工。いきものらしい有機的なデザイン、可変性をポイントに  

それから約1か月後、いよいよ着工を迎えました。「育ちゆくもの」をテーマにデザインを生み出しているミツトリヒトギ。その世界観のベースになるような空間づくりを意識しました。庭と室内、カフェとショップエリア、それぞれにつながりを感じて寛げること、ショップエリアは可変性を高めることをポイントにしています。玄関の正面に壁を追加し、商品用の什器は移動しやすいものをご提案。お客様が滞在しやすい動線、商品が変わっても レイアウトしやすいスペースを作りました。また材料はなるべく有機的なものを選び、デザインとディテールは直線的なものは避けています。施工と同時進行でいろいろなアイデアを具体化できたのは、地元の大工さんや職人さんの腕のおかげ。一例ですが、キッチンカウンターやトイレニッチの曲線は、田部井さんが現場で描いたラフスケッチを元に、現場でカットしました。一方、機能性を重視すべき点は細かく打ち合わせ、スペースが限られていたキッチンカウンターは、デザインは曲線にしつつ収納量や作業域を割り出して棚の奥行を決めています。 

下地の状態。くり抜く大きさ・場所を仮にレイアウトしながら一緒に考えます。
木の向きにもこだわって

ミツトリヒトギが暮らす「うわさのトイレ」  

トイレの壁面は、鏝絵の技術を持つ左官職人(大櫃孝之さん)に塗って頂きたかったので漆喰を選びました。漆喰は、鳥取で選んだ木とも雰囲気が合ったかなと思います。壁面のニッチは、ミツトリヒトギが生まれた穴を、木はミツトリヒトギと一緒に成長していく姿をイメージして設置しています。今回のリノベーションの中でも特徴的なこの場所は、いつからか「うわさのトイレ」と呼ばれ、カフェに訪れた方は必ずと言っていいほどこのトイレを体験して帰られるとの事。

扉を開けた先で、ミツトリヒトギの世界を感じて頂けているのでしょうか。 

リノベーションやコーディネートのベストな進め方は、お客様によって様々。「どこから手をつければいいか分からない」「どちらのアイテムを選べばいい?」というお悩みから、全体のコンセプトから考えたいというご相談まで、cocomo+ではお客様と一緒に形にして いきます。今回は、アートを引き立てる、店舗の滞在時間を伸ばすことに注力しました。実際に、来店されるお客様の滞在時間は長くなり、お話する機会も増えたそうです。 ミツトリヒトギさんからは「おしゃれにしたいけれど抽象的なイメージを具体化できなかった私たちの気持ちに、さまざまな提案と対応力で応えて形にしてくれた。別のプロジェクトでもご一緒したいと思うくらい気持ちが通じ合った。」とご感想をいただきました。

トイレ -before –

トイレ -before-

完成トイレ 便器から入り口を見る
先ず入って見える景色
カフェの様子
ギャラリーからカフェを見る
自然光と透明感のあるライトの色が重なってさらに商品がキラキラとしている様でした
ヒトギちゃんの住処となったでしょうか